防波堤の上でバランスとって

大通り公園の青年

 

 

ヘッドホンで音楽を聴く少女

鉄の柵に寄りかかってパンを食べる少年

ビルは何も言わずに起立し

飼いならされた芝生が

クジラの潮吹きの真似をしている

 

サラリーマン 屋台 鳩

ここにはなんでもある、いる

嗚呼

無いのは君の

正常だけ

i

 

 

i i i i

i i 

i i i i iii i

iiii

iiiiiiii

i  i  i  i

Dear My Love

 

 

君の優しい香りにキスさせて

君の美しい名前にキスさせて

君のその

儚い声を抱きしめさせて

 

今の僕には君への愛を

的確に表現する事はまだできない

でもそれはそれでいいと思っているよ

なぜならばもしそれができたならそれは

その愛が少しだけ過去になっている証拠でもあるんだから

 

僕はこの愛を暖かく氷結させて

2番目の頸椎の上に保存しておきたい

つまり

1番目の頸椎(狂気を保存中)の下に保存しておきたいってこと

 

ねぇ

聞こえる?

僕は君を

こんなにも愛しているよ!

 

赤を抑えるTシャツとジーンズ

 

 

彼女が壁にキスをすると

昨日買ってきた桃が床を転り始め

僕が指で星を弾くと

三角に折っていた夜が痙攣し始めた

 

夜は上下に激しく動き

1分も経たないうちにアレを出し始めた

トマトの水煮だ

 

それはドボドボと溶岩のように溢れ出し

彼女はいつものようにそれを必死に抑えようとするが

その量と勢いは半端ではなく

彼女の両手の指の隙間から

ビュ、ビュッビュと噴射し

僕の左足の中指と小指

そして彼女のあらゆる部分に飛び散った

「あっ」

そんなとき彼女は

忘れ物を思い出したときの声を

5度上げたような声を出す

 

■STOP

トマトの水煮はすぐにその流れを止めた

なぜなら僕は一度しか星を弾いていないから

彼女はため息と共にひざまずき

いつものように目と鼻だけで懇願し始めた

僕は知らんぷりし続けた

なぜなら彼女の目と鼻だけで懇願する癖があまり好きじゃないからだ

彼女は5分ほど目と鼻だけで懇願し続けたが

痺れを切らしてついに口を開いた

しかし彼女が口にした言葉は

僕の期待していた言葉ではなく

「定規!」だった

僕は怒って部屋を飛び出した

 

案の定

すぐに彼女の泣き声が廊下中に響き渡った

それは苦情が来るには十分すぎる大きさだった

僕は仕方なく部屋に戻り

半ば事務的に星を弾き続けた

 

夜が萎み始めたのは

トマトの水煮がコンバースのハイカットくらいの高さまで到達した頃だった

そのころには僕は汗でびっしょりになり

僕の指もまるで細い注射器のようになっていた

夜ももう勘弁してくれと言わんばかりに低いうめき声を上げ

めずらしく哺乳瓶の中に戻っていった

 

彼女はもうとっくに気絶をしている

僕は彼女が床に128回背中を擦り付けた頃にはもうとっくに気絶をしていることは知っていたが

今後のことも考えて多めにやっておこうと思ったのだ

 

僕の計算では彼女はあと1分12秒で意識を取り戻す

そして僕はこの両手ですくったトマトの水煮を

1分6秒後に

彼女の

0秒の顔に

ぶち

まける!

 

チキンカレー

 

 

チキンカレーが言った。

「年齢を重ねる度に、弱音の吐き方がわからなくなってくるね」

 

僕は言った。

「うん、同感。それに年齢を重ねる度に “ぴ” がうまく発音できなくなってくるよね」

 

チキンカレーが言った。

「 ああ、まったく同感だ。」

 

気が合うね。

気が合うね。

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名もない夜

 

 

シャンプーの香り

ビールを買いにいく

月がウィンクし

彼女がほほえむ

僕、口笛吹けば

彼女、鼻歌歌う

僕は笑う

くすくすと笑う

彼女はふくれる

ぷくーっとふくれる

だって彼女が鼻歌を歌ったのは

口笛が吹けないからなんだもの

防波堤の上でバランスとって

 

 

防波堤の上でバランスとって

君は両腕で青空を飛行する

僕はそんな君を見上げたり

微笑んだり

タバコを吸ったりしながら

注意深く並走する

 

君がよろけそうになったら

僕が手を貸すよ

君のストローハットが飛んでいったら

僕が取りにいくよ

だから君はあの空の終わりまで

何も考えずに飛んでいくんだ

 

そのあと僕は君を抱きしめ

そのまたあとは君にキスをする

そのまたあとのあとは僕の運転で

新しくできたあのアイスクリーム屋に

チーズケーキ味のアイスクリームを食べに行こう

 

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